アンケートに適した質問を作成するためのガイドラインは多数あります(Coursera とミシガン大学が提供しているアンケート作成に関するコースなど)。ここでは、Google のピープル アナリティクス チームが気を付けている注意点をいくつかご紹介します。
#1: 二重質問
二重質問とは、1 つの質問に 2 つの問いかけを含む質問です。このような質問はわかりづらくなることがあります。質問の中で接続詞(「と」、「または」など)を使用する際には注意しましょう。
悪い例: 「貴社のバイス プレジデントとディレクターは、組織全体のイノベーションを奨励していますか。」
バイス プレジデントはイノベーションを奨励している一方、ディレクターは奨励していない場合はどうでしょうか。この質問ですと従業員は回答に困ってしまいます。質問を分けて適切に回答できるようにしましょう。
良い例: 「貴社のディレクターは、組織全体のイノベーションを奨励していますか。」
#2: 誘導尋問
誘導尋問とは、回答者を特定の答えへ誘導するような質問です。そして多くの場合誘導尋問に沿って答える方が回答者も楽です。結果として、このような質問はデータにバイアスをかけてしまいます。
悪い例: 「製品評価にもっと時間を費やすべきだと思いませんか。」
良い例: 「製品評価にもっと時間を費やした場合、新商品の成功率は向上するでしょうか。」
#3: 漠然とした質問
漠然とした質問は、回答者を混乱させ、回答の信頼性を損なうことになります。すべての回答者がまったく同じように理解できる質問を作成することを目指してください。
悪い例: 「業績評価についてどう思いますか。」
これでは、質問内容が業績評価の運用についてなのか、作業の負担についてなのか、あるいは有効性についてなのか、はっきりわかりません。
良い例: 「直近の業績評価の期間中にあなたへ割り当てられた作業量について、どの程度満足していますか。」
#4: 広範過ぎる質問
質問が具体的過ぎると回答内容の幅が狭くなってしまう場合があります。しかし、質問が広範すぎても回答者を惑わせるだけです。
悪い例: 「この人をどの程度知っていますか。」
この場合、「知っている」とは何を意味するのでしょうか。自分が評価しようとしていることは何かを考え、それに的を絞った質問をしましょう。アンケートでは常に、表現の的確性が一般論に勝るのです。
良い例: 「この四半期にメールや電話、会議などでこの人とやり取りしたことは何回くらいありましたか。」
#5: 選択肢の不足
選択式質問をする場合は、選択肢を網羅的にする、つまり回答者が選択できる回答をもれなく用意する必要があります。試験的アンケートを実施して、足りない選択肢を確認してください。「その他」、「わからない」、「該当なし」などの選択肢を設けましょう。
#6: 選択肢の重複
選択肢は、網羅的であるだけでなく、相互に排他的であることも必要です。回答者に選択肢の中から 1 つだけ選ぶよう求める場合、選択肢の内容が他の選択肢と重複しないようにする必要があります。
悪い例: この会社に勤務して何年になりますか。A)1 年未満、B)1~2 年、C)2~3 年、D)3~4 年、E)5 年以上
3 年勤務している従業員の場合、C と D のどちらも選択できることになります。
良い例: この会社に勤務して何年になりますか。A)1 年未満、B)1 年以上 2 年未満、C)2 年以上 3 年未満、D)3 年以上 4 年未満、E)4 年以上
#7: 回答が「必須」の質問
回答者は、回答必須の質問がない方が安心してアンケートに取り組めます。これにより回答者の信頼を築き、回答を強制されることにより生じるデータの歪みを防ぐことができます。「該当なし」という選択肢を設けるのも 1 つの方法です。特定の質問に対する回答がどうしても必要な場合は、アンケートの文中でその理由を回答者に説明しましょう。