aespa

K-Popシーンにおいて、aespaの登場はアイドルという概念を新たなステージに導いた。韓国人のカリナとウィンター、日本人でメインラッパーのジゼル、中国人でメインボーカルを務めるニンニン。4人のメンバーの出身は3か国にまたがるが、aespaにはもう一つ別の世界がある。メンバーにはそれぞれ仮想世界“FLAT”において、ae-KARINA、ae-WINTER、ae-GISELLE、ae-NINGNINGというアバターが存在するのだ。グループ名も“Avatar X Experience”を表現した“æ”と、両面を意味する“aspect”を合成したもので、彼女たちは現実世界と仮想世界を行き来しながら、人々を新たな世界に導く。このコンセプトは、デビュー曲「Black Mamba」（2020年）からすでに打ち出され、楽曲ごとにストーリーが強化されている。 力強いボーカルとラップが持ち味の重厚なサウンドカラーは、ガールクラッシュのトレンドに即したもののようだが、楽曲では世界を脅かすBlack Mambaと異世界KWANGYAで戦う彼女たちの姿が描かれている。さらに「Savage」（2021年）のミュージックビデオでは、現実世界のメンバーとアバターが共闘するなど、世界観が広がっている。また、楽曲ごとにRemix、featuringなどの異なるバージョンが存在し、まったく解釈の異なるアレンジやミュージックビデオ制作が行われ、リアルとバーチャルを往来する彼女たちと同様に、楽曲もまた自由自在に変化を見せる。 コロナ禍の2020年にデビューした彼女たちは、現実世界でライブ活動などが制限される中、バーチャル空間でファンとの交流やコンサートが開催されることを見越していたかのように、近未来的な姿でさっそうと現れ、日韓のみならず世界的に注目を浴びた。2024年には初のフルアルバム『Armageddon』をリリース。既存のファンが求めるアイドル像、アーティスト像にとらわれない自由奔放さを持ち、常に挑戦を続けている。