20世紀フランスの作曲家モーリス・ラヴェルの音楽と自然の美しさが巡り合う、創意に富んだアルバム。ベル・チェンは、美しいピアノの質感を生み出す才能を持つと同時に、デジタル機材を駆使することにも長けたアーティストだ。彼女はピアノ本来の美しさとデジタルによる効果を組み合わせ、雨や月明かりの森の中で樹木の枝や葉の間を旅しながら、鳥や昆虫、その他の生き物たちと出会っていく。弦楽四重奏曲は「Kingdom Animalia」、ピアノ協奏曲ト長調は「Adagio, Sans」「Assai, Assai」、そして『鏡』は「And It Rains」のように、ラヴェルの断片が印象に基づくままの色彩を帯び、チェンの豊かな音楽的想像力の原動力となっている。