WE DON'T TRUST YOU

WE DON'T TRUST YOU

キャリアを初期から追いかけているリスナーなら、「If Young Metro don’t trust you, I’m gon’ shoot you」というフューチャーの声を使ったMetro Boominの“シグネチャータグ”を数えきれないほど耳にしてきたはずだ。シグネチャータグとは、プロデューサーが自身のトラックであることが分かるように曲の中に忍ばせる、いわば署名や印のような意味合いのキャッチーな音や声の素材。これまでにMetro Boominが手掛けたヒット曲の数々で、フューチャーの声を使ったこのタグを聴くことができる。その当事者の2人、Metro Boominとフューチャーが初めて制作したこのフルアルバムのタイトル『WE DON’T TRUST YOU』も、当然のようにそのタグに由来するものになった。このコンビのコラボレーションは過去にもあり、例えば「Karate Chop」「Honest」のような初期の楽曲から2017年のメガヒット「Mask Off」まで数多く存在するが、実は本作は「Mask Off」以来の共作となる。全17曲というボリュームだけでも長く空いた期間を埋め合わせるかのような曲数だが、さらにもう一作立て続けにリリースされるという。 タイトル『WE DON’T TRUST YOU』にあるように、Metro Boominとフューチャーの2人はあなたを信用していない(まさに“don’t trust you”だ)かもしれないが、彼らがお互いを深く信頼していることは明らかである。「Maison Margiela」から13年が経っても、互いの実験的な個性を最大限引き出すような、このコンビならではの化学反応は健在だ。フューチャーらしさが発揮されたバラードの「Runnin Outta Time」、快楽主義的な「Fried (She a Vibe)」、どこかジョルジオ・モロダーを想起させる「Type Shit」、さらには、オーガニックなソウルミュージックのサンプリングが、あたかもCash Money Recordsが1998年ごろにリリースした楽曲のようなムードを醸し出している「Like That」や「Everyday Hustle」では往年のソウルスターをほうふつとさせるフューチャーのボーカルが楽しめるなど、聴きどころが満載。すでに決して短くはないキャリアを積み重ねてきたMetro Boominとフューチャーだが、「In the courtroom, I’m on mushrooms」というラインが印象的な「Where My Twin @」に象徴されるように、2人はまだまだフレッシュな気持ちでコラボレーションを楽しんでいるようだ。

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