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通信

責任ある革命: 生成 AI がいかに通信およびメディア業界を変革しているか

2024年5月10日
Google Cloud Japan Team

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Vertex AI からアクセスできる、Google のもっとも先進的なマルチモーダル モデルです。

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※この投稿は米国時間 2024 年 4 月 27 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

生成 AI がビジネスを変革し、数兆ドル相当もの価値を生み出す可能性に期待が高まる中、このテクノロジーがすでにもたらしている重大な影響については見落とされがちです。実際、生成 AI の時代は漠然とした遠い未来のことではなく、すでに到来しています。

生成 AI の出現は、コンピューティングの進化において大きな飛躍となりました。メディア企業のお客様は、生成 AI により、これまで不可能だったリアルタイムでパーソナライズされた独自のやり取りを生成する機能を実現しています。このテクノロジーは、コンテンツ制作プロセスを合理化する方法に革命をもたらしただけでなく、メディア アーカイブの発見や検索などの放送業務も大きく変えています。

また、通信業界では、生成 AI を利用して、従業員がお客様の問題解決に活用できるように大規模な構造化データと非構造化データの両方から情報を要約、抽出できるナレッジベースのエンジンを作成したり、機能の習得期間を短縮したりすることで、生産性を向上させています。さらに、生成 AI は組織のあらゆるレベルで簡単に実装できて理解しやすいものであり、モデルの複雑さを知る必要はありません。

生成 AI がいかに通信およびメディア業界を変革しているか

通信およびメディア業界は、生成 AI 活用の最前線に立ち、これを成長と革新の促進剤とみなして業務に積極的に組み込んでいます。業界のリーダーは、現在のプロセスを強化するだけでなく、新しいイノベーションを先導し、新たな機会を創出して価値の源泉を新たに見出し、ビジネス全体の効率を向上させる生成 AI の能力に大きな期待を寄せています。

通信サービス プロバイダ(CSP)は現在、生成 AI を使用して、ネットワーク停止の根本原因分析の実行にかかる時間を大幅に削減しています。これまでは、停止の根本原因を特定するには、エンジニアが複数のログ、ベンダーのドキュメント、過去のトラブル チケットやその解決策を調べる必要がありました。Vertex AI Search を使用することで、CSP は構造化データと非構造化データ全体から関連情報を抽出し、考えられる原因を人間のエンジニアが特定するのに要する時間を大幅に短縮できます。

「生成 AI を利用して従業員の業務の遂行や生産性の向上を支援することで、従業員は顧客との関係強化により多くの時間を費やせるようになりました」と、Vodafone Germany CIO である Uli Irnich は説明します。

メディア組織は生成 AI を使用して検索とレコメンデーションを強化し、視聴者をスムーズな流れでうまく引き付けて維持しています。Vertex AI を使用しているお客様は、高度なメディア レコメンデーション アプリケーションを構築し、最適化目標によってカスタマイズされた Google 品質で、視聴者がパーソナライズされたコンテンツを見つけられるようにしています。

開発に対する責任あるアプローチで課題に対応

生成 AI の可能性は広く認識されていますが、その普及には依然として課題が残されています。その課題の多くは、従来のアーキテクチャ、サイロ化されたデータ、スキル トレーニングの必要性など、関与するビジネスの規模が膨大であることに起因しており、生成 AI ソリューションをより広範かつ効果的に使用するうえで障害となっています。一方、リスク回避的であるエンタープライズ規模の組織の多くは、生成 AI のメリットが、認識されているリスクを確実に上回るようにしたいと考えています。特に企業は、顧客データのセキュリティや規則に準拠する必要性に加えて、ハルシネーションなどの生成 AI モデルを構築する際に発生する可能性のあるいくつかの課題がある中で、安心して利用できることを求めています(詳しくは後述)。

AI の責任ある開発に対する長年にわたる取り組みの一環として、Google Cloud AI に関する原則を実践しています。Google は、ガイダンス、ドキュメント、実用的なツールを通じて、企業が安全、安心、かつ責任ある方法でソリューションを展開できるようにお客様をサポートしています。そして課題や懸念事項に正面から取り組むことで、組織が生成 AI を安全かつ効果的に活用できるよう対応を進めています。                 

生成 AI を活用する上での課題の 1 つが「ハルシネーション」です。これは、生成 AI モデルがプロンプトに対して誤った情報やでっちあげの情報を出力することを指します。企業にとって、生成 AI を活用したアプリケーションを導入する前に、まずはしっかりとした安全機構を構築することが重要です。モデルそのものや、モデルを使って生成 AI アプリができることは今後も進化を続けるでしょう。組織がハルシネーションを軽減するための方法も数多くあります。

昨年、Vertex AI グラウンディング機能が導入され、大規模言語モデルにモデル レスポンス生成用の特定のデータソースを組み込めるようになりました。特定のデータソースにアクセスできるモデルを用意することで、グラウンディングによってその出力を特定のデータに紐づけ、コンテンツを捏造する余地を削減します。その結果、モデルのハルシネーションが低減し、モデル レスポンスが特定のデータソースに固定され、生成されるコンテンツの信頼性が高まります。グラウンディング機能により、モデルはトレーニング データ以外の情報にもアクセスできるようになります。Vertex AI Search 内で指定したデータストアにリンクすることで、グラウンディングされたモデルは関連性の高いレスポンスを生成できます。

AI 生成画像の人気が高まる中、Google Vertex AI で電子透かしと検証機能を提供しています。これにより、Google は、企業が堅牢で使いやすくスケーラブルなアプローチで、責任を持って AI 生成画像を作成し、自信を持って識別できるようにした初めてのクラウド プロバイダとなりました。Vertex AI の電子透かしは 2 つの機能を備えています。1 つは透かし機能で、人間の目には見えないように設計された、画質を損なったり低下させたりしない透かしを生成する機能です。もう 1 つは検証機能で、信頼区間の度合いから画像が Imagen によって生成されたものであるかどうかを特定するものです。この技術は Google DeepMind SynthID を活用しています。Google DeepMind SynthID は、透かしをピクセル画像に直接埋め込むことのできる最先端技術であり、この透かしは人の目には見えず、また、画像を損傷せずに改ざんすることは非常に困難です。

有害なコンテンツを削除して、よりポジティブなユーザー エクスペリエンスを実現

大規模言語モデルの汎用性を考えると、意図しない、または予期しない出力を予測することは困難です。これに対処するために、Google の生成 AI API には、お客様が Google 安全性フィルタをテストして、特定のユースケースやビジネスに適した信頼度のしきい値を設定できる安全性属性のスコアリングが用意されています。これらの安全性属性には、「有害なカテゴリ」および機密とみなされるトピックが含まれており、それぞれに 01 の信頼スコアが割り当てられます。このスコアは、入力またはレスポンスが特定のカテゴリに属する可能性を示します。この方法を実装することで、出力を望ましい安全基準により厳密に準拠させることができ、ポジティブなユーザー エクスペリエンスへの第一歩となります。

プロセス全体に責任ある AI のガバナンスを組み込む

Google は責任を持って生成 AI の開発に取り組む中で、新たな規制の枠組みを注意深く監視しています。Google AI / ML Privacy Commitment は、クラウド上のお客様のデータをお客様自身が最大限安全に管理できるようにすべきであるという Google の信念を示しています。その取り組みは Google Cloud の生成 AI ソリューションにも及びます。デフォルトでは、Google Cloud は基盤モデルのトレーニングに顧客データ(プロンプト、レスポンス、アダプタ モデルのトレーニング データを含む)を使用しません。また、Google は、第三者の知的財産権に関する補償をすべてのお客様に標準サービスとして提供しています。

Google は、責任ある AI に関する原則とツールキットを AI 開発のあらゆる側面に統合することで、組織の間で Google Cloud の生成 AI モデルとプラットフォームの使用に対する信頼が高まっているのを確認しています。このアプローチにより、組織はカスタマー エクスペリエンスを向上させ、全体として、安全で安心かつ責任ある方法で生産的なビジネス環境を促進することができます。Google は生成 AI への取り組みを進める中で、お客様が Google のサービスを安全かつ安心して、自信を持って利用するために必要なツールと保護を提供できるよう全力を注いでいます。

WPP の最高 AI 責任者である Daniel Hulme 氏は、次のように述べています。「Google Cloud の生成 AI によって、アイディエーションから普及までのフローが最適化されています。このテクノロジーが拡大し始めるにつれて、今後本当に重要になるのは、生成 AI を安全で責任ある倫理的な方法で使用するにはどうすればよいかということでしょう。」

-Google Cloud、生成 AI ブラックベルト兼応用 AI エンジニアリング Malika Malik
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