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Public Sector

サリバン郡が住民からのよくある質問に答える生成 AI chatbot、Saige をリリース

2024年5月17日
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Dan Hust

Director of Communications, Sullivan County

The public sector guide to getting started with generative AI

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※この投稿は米国時間 2024 年 5 月 3 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

キャッツキル山地を擁するニューヨーク州サリバン郡は、暮らしやすく、子育てやバケーションを楽しむのにも最適な地域で、多くの観光客や旅行客の皆様をお迎えしています。サリバン郡は、とても小さな郡でもあります。地方自治体で最先端のテクノロジーが活用されていると想像する人はあまりいないかもしれませんが、サリバン郡では常に最先端のイノベーションを推進しています。

これまで、こうした事務所には、窓口対応時間や、書類提出手続きなどのお決まりの質問が何度も寄せられていました。チームは問い合わせ電話への対応に多くの時間を費やしており、この時間をより複雑な問題の解決に充てたいと考えていました。そこで、2023 年に Dialogflow を基盤とした仮想エージェントを導入し、住民の皆様から寄せられる単純な質問に迅速に答えられるようにしました。郡のウェブサイトで提供している chatbot にこのエージェントを埋め込み、郡書記官事務所と郡財務官事務所についての情報提供をサポートしました。

この chatbot のサポートにより、通話量を 62% 削減することに成功し、チームは空いた時間をより複雑な問題の解決に充てられるようになりました。これら 2 か所の事務所が chatbot 展開に成功した様子は他の事務所からの注目を集め、さらに chatbot の機能を拡大して展開することになりました。

Vertex AI によるシンプルな生成 AI の導入で、chatbot をわずか 10 週間で刷新

サリバン郡には 40 以上の事務所があり、そのすべてで chatbot を導入すれば大きな効果が見込めましたが、当初はこのような大規模のプロジェクトに取り組むには長い時間と労力が必要になるのではないかとの懸念もありました。多くの chatbot では、事務所のウェブサイトに存在する情報を手作業でチェックし、それぞれに応じた chatbot のワークフローを構築する必要があるだろうと考えていたリーダーもいました。そのようなときに出会ったのが Vertex AI Agent Builder です。Vertex AI Agent Builder を使えば、時間とともに拡大し、成長する ML モデルのトレーニングを、技術に詳しくないチームでも簡単に行うことができます。「学習」の仕組みが備わっているので、各事務所のサイトから情報をスクレイピングし、質問された時点での最適な回答を動的に判断する chatbot を作成できます。これらのフローを手作業で設計する必要はありません。

私のチームは Google Cloud プレミア パートナーである Quantiphi と協力し、Saige という仮想エージェントの生成 AI 搭載バージョンを実装しました。Quantiphi はとても熱心にプロジェクトをサポートしてくれました。Quantiphi のサポートのおかげで、わずか 10 週間で郡の全部門のプロジェクトが完了し、接続することができました。

Saige が学習を進めるとともに住民との対話が改善

私は子どものころ(1980 年代のことです)、コンピュータをいろいろといじり回すのが好きで、コンピュータは私たちの生活にゆとりをもたらすと聞かされて育ちました。しかし、新しいテクノロジーを身に付けるのは簡単ではなく、面倒に感じることも多いと思います。どんなに素晴らしいテクノロジーでも、手作業で行った方が簡単で時間もかからないのであれば、誰もそのようなツールをわざわざ導入して作業しようとは思わないでしょう。Vertex AI は「生活にゆとりを生む」という私たちに約束されていた未来をまさに実現するテクノロジーです。

リリース後、Saige は多くの情報を取り込んで進化し、業務の効率化にも役立っています。Saige はさまざまな部門のサイトから情報を収集するため、更新が必要な情報ソースを見極めるのに役立ちました。質問への回答が正しくなければ、「役立たなかった」をクリックして、もう一度質問することができます。すると Saige は直ちに新しい情報を検索して見つけてくれます。休日により窓口対応時間が変わったり、ファイルが更新されたりなど情報は常に変化しますが、私たちのような小規模なチームでは、すべての chatbot ワークフローを手作業で更新する時間がありません。そうした点でこの機能は特に役立っています。

複雑な問題を解決するためには、顔を合わせた、親身になった対応が求められます。Saige が知識を蓄えるにつれ、事務所で働くスタッフはより多くの時間をこのような複雑な問題への対応に充てられるようになってきています。事務所の作業効率が高まり、住民の皆様は質問への回答を迅速に得られ、そしてその皆様とのあらゆるやり取りが次のやり取りに活かされています。

AI の力を活用するサリバン郡が目指す新たな目標

この新しいエクスペリエンスがいかに便利であるかについて、サリバン郡で働くチームメンバーや住民の皆様から聞くことができましたが、真の効果を測定する仕組みも必要です。そこで私たちは、Looker ダッシュボードを導入しました。このダッシュボードを使えば、事務所におけるチャット機能の効果を正確に追跡できます。合計ユーザー セッション数、チャットでの対話の成功率、ピーク時間を簡単に参照できるので、コミュニティのニーズに最適なサポートを提供できるように改善策を講じられます。

また、住民の皆様から寄せられる質問の内容を確認することで、トレンドとなっているテーマも把握できます。経験に基づくデータと定量的なデータの両方を収集すれば、現在求められているトピックをウェブサイトの目につきやすい場所に配置して、さらに優れたサービスおよび情報の提供につなげられます。

サリバン郡のオンライン リソースの未来について考えるとき、私は住民の立場に立って、サイトにどのような情報を求めるかを考えるようにしています。チャット機能は時間とともに向上しており、今後は支払いやフォームの提出などのサービスをチャットから直接提供できればと考えています。サリバン郡のスタッフは献身的に優れたサービスを提供していますが、このようなさまざまなツールを組み合わせることでその働きをさらに強化し、住民の皆様に最高のサービスをお届けできれば幸いです。

ニューヨーク州における変革の取り組みについては、ニューヨーク州における生成 AI を活用した公共サービス変革の取り組みをご覧ください。

-サリバン郡広報責任者 Dan Hust 氏

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