Google Cloud 全体にあるカスタマイズ可能なダッシュボードによるコンテキストに沿ったオブザーバビリティ
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2024 年 5 月 1 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
広く利用されている Google Cloud の各プロダクトを含め、クラウド上で動作するすべてのアプリケーションとシステムでは、オブザーバビリティが統合されていること、および短時間でトラブルシューティングできることが非常に重要です。同時に、会社や開発チームによってニーズが異なるため、画一的なオブザーバビリティ ダッシュボードでは足りないことがよくあります。ここ 1 年間で、数十もの Google Cloud チームの手により、ランタイムやデータベース、ストレージなどを計算するための詳細なオブザーバビリティ ダッシュボードが追加されてきました。そして本日、10 種類を超える Google Cloud サービスに、カスタマイズ可能なオブザーバビリティ ダッシュボードが実装されたことを発表いたします。
これにより、サービスのコンテキスト内で独自のニーズに沿ってダッシュボードをカスタマイズすることが可能になりました。対象となる機能には、チャートの追加と削除、未処理のログの追加、チャートの構成の変更、アラートの作成などがあります。追加費用は一切かかりません。
ツールセットにより、これまでは Cloud Monitoring UI でしか利用できなかった完全なダッシュボード操作体験が、Google Cloud の対応する各プロダクトやサービスの UI でも可能になります。複数のオブザーバビリティ ソリューションを行き来しなくても、トラブルシューティングや修復に必要なシグナルを得られるようになりました。
カスタマイズ可能なオブザーバビリティ ダッシュボードは、Google Kubernetes Engine(GKE)、Compute Engine、Cloud Run、Cloud Functions、Cloud Storage、Dataproc、Dataflow、MySQL System Insights、その他多数の Google Cloud サービスで利用可能です。
Kubernetes クラスタの [オブザーバビリティ] タブのカスタマイズ可能なダッシュボード
カスタマイズ可能なダッシュボードでできること
カスタマイズ可能なダッシュボードにより、自社が利用する Google Cloud サービスやアプリケーションに合わせて、コンテキストに沿ったオブザーバビリティ ダッシュボードを構築できます。機能は以下のとおりです。
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柔軟に独自のインサイトを定義: 特定のインスタンスやクラスタで、自社が利用するサービスやアプリケーションに最適な指標とログを選択し、自社にとって真に重要なデータを明らかにします。
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コンテキストに沿ったアラート作成: ダッシュボードから取得した最も重要な指標から直接アラートを作成したり、ダッシュボードの上部から推奨アラートを作成したりして、コンテキストに沿ったアラートのチャートを表示します。
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サービスをまたぐクロスシグナルの可視化: 指標やログ、アラートのテレメトリを 1 つのまとまったビューに結合します。それによって、複数のサービス(ロードバランサやコンピューティング、データベースなど)のテレメトリを単一のカスタム ダッシュボードに統合し、スタック全体でトラブルシューティングを行うことが可能になります。
下の例で、右上の [カスタマイズ] ボタンをクリックすると、カスタマイズ可能なダッシュボードの全機能にアクセスできます。そこから、この GKE マネージド Prometheus ダッシュボードを構成して、事前定義のダッシュボードに含まれていないカスタムのビジネス指標やアプリケーション指標を追加できます。
その他の主要な機能
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インスタンスごとのカスタマイズ: GKE クラスタ オブザーバビリティ ページなどの一部のサービスで、クラスタ固有のカスタマイズ、およびすべてのクラスタへのカスタマイズを適用できます。
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コンテキストに沿ったテレメトリの探索: アプリケーションを離れたり別のツールにリダイレクトされたりすることなく、アプリケーションの状況を確認できます。各チャートにある虫メガネのアイコンをクリックするだけで、Metrics Explorer が開き、より詳細な調査とカスタマイズを行えます。
- イベントのアノテーション: 変更イベントのチャート アノテーション(GKE、Compute Engine、および Cloud Run のコンテキストに沿ったダッシュボードで導入時からデフォルトで利用可能)を使用して、指標の変動と考えうる原因を迅速に関連付けます。
新たにリリースされた Cloud Observability とダッシュボード機能により、コンテキストに沿ったカスタムのダッシュボードを多くのお客様に自動的にご利用いただけるようになります。
使ってみる
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お使いの Google Cloud サービス(Compute Engine、GKE、Cloud Run など)にアクセスする: カスタマイズ アイコン(鉛筆)を探して、カスタマイズ可能なダッシュボードを特定します。
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独自のダッシュボードを設計する: ドラッグ&ドロップ インターフェースを使用して、グラフやチャート、その他の可視化を配置し、希望するレベルに応じたインサイトを確認できます。
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アラートを作成する: お使いのサービスやアプリケーションで重要なアラートを容易に作成したり、コンテキストに沿ったダッシュボードにアラートのチャートを追加したり、Cloud Monitoring でアラートを表示したりできます。
今後の Google Cloud Observability
ひとつのダッシュボードに対してアクションをカスタマイズするのも良いですが、組織内の他のダッシュボードやプロジェクトにカスタマイズをプログラムで適用できるようにすることも重要です。そのために、Google はコンテキストに沿った大規模なカスタマイズを Terraform でサポートできるように取り組んでいます。また、ひとつの事前定義ダッシュボードに対して複数のカスタマイズ可能なダッシュボードを適用できるようにすることにも取り組んでいます。
Google のチームは、Google Cloud Observability のエクスペリエンスを強化することに尽力しています。コンテキストに沿ったカスタマイズ可能なダッシュボードは出発点にすぎません。Google は今後も、お使いのアプリケーションを効率的に自信を持って実行するために必要な柔軟性とインサイトの提供に取り組んでまいります。
より詳しくお知りになりたい場合、またはフィードバックをお寄せになりたい場合は、ぜひご連絡ください。ダッシュボード ページ右上のフィードバック アイコンから、ご意見をお寄せいただけます。
このブログ投稿は Haskell Garon と James Wang の協力により執筆されました。
-シニア プロダクト マネージャー Joy Wang
-エンジニア リード Peizong Guo