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Containers & Kubernetes

Google Cloud の活用で iEEG によるてんかん発作の特定と類似性検索を強化

2024年5月14日
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Google Cloud Japan Team

Gemini 1.5 モデル をお試しください。

Vertex AI からアクセスできる、Google のもっとも先進的なマルチモーダル モデルです。

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※この投稿は米国時間 2024 年 5 月 2 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

てんかんの患者数は世界全体で約 5,000 万人にもおよびます。カリフォルニア州マウンテンビューにある NeuroPace, Inc.1は、てんかん患者の生活を向上させるために、てんかん発作の軽減や治癒に取り組んでいます。同社では、脳の活動をモニタリングして発作の前兆を検出し、標的を絞った電気刺激によって発作を予防する応答性神経刺激装置 RNS® System2を提供しています。この装置は iEEG(頭蓋内脳波)データの収集も可能で、これまでに 5,000 人以上の患者の 1,500 万件を超える記録を収集しており、現在入手可能な外来患者の iEEG レコードとしては最大の収集データとなっています。

NeuroPace AI チームは、RNS System の臨床試験データを使用して脳波上発作分類モデルを開発し、転移学習によってこれらのモデルをファイン チューニングして発作の発症時間を特定しました。これ以前の機械学習(ML)のトレーニングは、オンプレミスの仮想マシン(VM)で利用可能な画像処理装置(GPU)の数に制限があり、モデルの最適化やトレーニングのプロセスに時間がかかっていました。NeuroPace は、この課題に取り組むために、オンプレミスの VM から Google Cloud に移行して ML ワークロードをスケーリングし、Vertex AI を利用してより効率的なトレーニングとハイパーパラメータ チューニングを実施しました。

Google Cloud AI インフラストラクチャの活用

Google Cloud のテクノロジーにより、NeuroPace ML トレーニング能力は大幅に改善され、高速化されました。以前は、100 万件以上の iEEG レコードを検索して類似性を特定する作業に数分から数時間かかっていましたが、AlloyDB for PostgreSQL データベースの一部である Google AlloyDB AI を使用することで、数ミリ秒で完了できるようになりました。さらに、Vertex AIGPUCompute EngineGoogle Cloud Storage の統合が NeuroPace ML トレーニング プロセスに革命をもたらし、スケーラビリティ、自動化、効率性が強化されました。

Google Cloud AI 開発プラットフォームである Vertex AI は、データ エンジニアリング、モデルのトレーニング、デプロイ、モニタリングを含む ML ワークフロー全体をサポートします。この統合により、NeuroPace AI チームはモデルのトレーニングにさまざまな GPU を使用できるようになり、オンプレミスのリソースよりも価格性能比に優れた L4 GPU も活用しています。クラウドネイティブの ML トレーニング システムを開発したことで、Vertex AI GPU を通じて期待どおりのスケーラビリティと効率性を実現しています。

AlloyDB AI による患者の類似性検索

てんかん患者における電気生理学的な類似した特徴を特定することは、効果的な治療法の発見に役立つ可能性があります。NeuroPace は、AlloyDB AI に組み込まれているベクトル検索機能を活用し、100 万件を超える時系列の iEEG レコードからなる大規模データセットの中から類似した iEEG パターンを特定する研究を実施しました。IVFFlat HNSW のインデックス作成方法を採用することで、このデータセット内の類似の iEEG レコードの検索を約 10 ミリ秒で実行できるようになりました。

AlloyDB AI を使用すると、データ エンベディングをベクトル形式でデータベースに直接保存できるため、標準的な PostgreSQL と比較して、より簡単かつ高速に類似性検索を行うことができます。これにより、複雑な外部処理パイプラインが不要になります。

次世代の疾病管理システム

NeuroPace RNS System が取得したデータは、てんかん発作の傾向や誘因に関する分析情報として、てんかんの最適な治療や個別治療につなげられる可能性があります3Google Cloud のインフラストラクチャと NeuroPace RNS System のデータを統合する研究活動は、てんかんのための高度な疾病管理システムの構築に向けられており、個別治療と患者の幸福の向上に重点を置いています。

1. https://www.neuropace.com/

2. Rx のみ。RNS® System は、てんかん病巣が 2 つ以下の難治性部分てんかん発作の成人患者に対する補助療法です。安全性に関する重要な情報については、http://www.neuropace.com/safety/ を参照してください。

3. RNS System には現在、AI をベースにした機能や AI を利用する機能は組み込まれていません。

-NeuroPace, IncAI 担当ディレクター / テクニカル フェロー Sharanya Desai 博士
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Google Cloud、エンタープライズ カスタマー エンジニア Iris Fang
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